不当な解雇や雇い止めの解決方法や手段

はじめにすること

 

1 解雇の事実や雇い止めの事実を証明できる証拠をそろえましょう
解雇の事実を証明できる証拠としては、解雇通知書解雇理由証明書解雇で処理がされている雇用保険の離職票などが考えられます。
雇い止めについては、雇い止め理由証明書や、契約期間が明示された労働契約書などが考えられます。
特に、解雇については、会社と労働者とで認識が異なる場合が有ります。つまり、会社は労働者に退職勧奨を行ってこれに労働者が応じた、あるいは労働者が勝手に会社を辞めたと、表面上(実際は辞めさせたという認識であっても)認識していると主張してくることがあります。
もしあなたが、会社の担当者から口頭で解雇を通知されたときは、会社に対して、解雇日や解雇理由が明示された、解雇理由証明書の交付を求めましょう。解雇理由証明書は、労働基準法で、労働者が会社に対して交付を求めたときは、会社は労働者に速やかにこれを交付しなければならないことが定められています。

 

解雇前3ヶ月分の給与明細書をそろえましょう
解雇無効や雇い止めの無効を主張するときは、併せて、解雇や雇い止めされた以降の賃金の支払いを会社に請求します。そのために、解雇や雇い止めされる前にいくらの賃金を会社から支払ってもらっていたかを、確認する必要があります。解雇や雇い止めされる前直近3ヶ月分の賃金額がわかれば平均賃金の計算ができますので、できれば解雇前または雇い止め前3ヶ月分の給与明細書を用意しましょう。ただし、3ヶ月分の給与明細書がなければある分だけでも構いません。

 

労働条件を証明できるものをそろえましょう
あなたが会社に在職していた時の仕事の内容や、勤務場所、当初の賃金額などを証明できる証拠です。労働条件通知書や労働契約書があればベストです。会社の就業規則の写しでも構いません。もっともどうしても用意できないときは、どういう労働条件だったか髪に書き出してみておいてください。

 

法人登記簿謄本をそろえましょう
勤務していた会社が法人(株式会社、有限会社、医療法人、学校法人・・・)の場合は、最寄りの法務局で履歴事項全部証明書という法人登記簿の謄本を発行してもらっておくと便利です。法人登記簿謄本には代表者の氏名や発行株式数、本店所在地、法人の目的(会社の業務内容)などが記されています。法人登記簿の謄本は、裁判所に訴訟を起こすときや労働審判手続きを申立てるときに必要となります。もっともすぐに必要というものではありませんので、初めのうちはなくても構いません。

 

 

解雇や雇い止めの違法性の検討

 

あなた自身や怒りや悲しみといった複雑な感情に支配され、また精神的にも平常ではないことが十分考えられます。そうすると事実をどうしても自分の都合のいいように解釈してしまいます。一度冷静になって客観的に会社が主張している解雇や雇い止めの理由と、解雇や雇い止めに至る経緯について検討してみましょう。
できれば、一度私のような社会保険労務士(社労士)や弁護士といった労働事件に詳しい専門家に相談してみて、第三者の目線で、あなたが受けた解雇や雇い止めについて検討してもらうと、公正公明な判断を得られるのではないでしょうか。

 

また、専門家に相談するならば、解雇や雇い止めが違法無効と考えられる場合、妥当な解決内容はどういったものか、解決手段としてどういった方法があり制度を利用できるか、解決に要する費用はいくらくらいかかりそうか、などを聞いておくとよいでしょう。
例えば、解雇の事件ではほとんどの場合で、解雇をした会社に対して労働者が解雇無効と解雇後の賃金の支払いを主張しつつ、現実的な解決内容として、会社から解決金名目の和解金を支払ってもらうことを条件に労働契約については労使双方の合意により終了させる、との内容で和解により解決を図っています。
会社から解決金を支払ってもらえるのであれば、労働契約は終了してもよいということであれば、当事者同士の直接の話し合いから裁判外の労働局や社会保険労務士会労働紛争解決センターなどのあっせん制度、裁判所の労働審判手続きなどの方法が利用しやすいでしょう。
何が何でも職場復帰を希望するのであれば、当事者間での話し合いで解決できないときは、裁判所に賃金仮払い仮処分申請を行いつつ、地位確認の訴訟を起こすべきだと考えられます。
あなたが希望する解決内容によっては、利用する制度や方法が変わってきます。

 

希望する解決内容を整理しましょう

解雇や雇い止めが違法無効と考えられる場合、あなたはどういった解決を希望するのかを、整理してみましょう。

 

法的には、解雇や雇い止めが無効という場合には、解雇や雇い止めの効力が無かったということですから、労働契約が継続していることになります。そして会社の違法な解雇や雇い止めであなたが会社の仕事に従事できなかったわけですから、解雇や雇い止め以降の仕事に従事できなかった期間の賃金を会社に支払ってもらう権利を有することになります。これが原則です。

 

しかし、会社が徹底的に争ってくる場合は、裁判所の訴訟で1年程度審理をしてもらわなければなりません。仮に一審で勝訴しても、会社が控訴してくるかもしれません。そうするとさらに審理期間を要します。

 

あなたが、どうしても職場復帰を希望する場合は、訴訟を覚悟して労働事件に強い弁護士を探してその弁護士を代理人に徹底的に戦うよりほかないでしょう。

 

そうではなく、あなたが、職場復帰までは希望しないが、ただこのまま黙って泣き寝入りするのイヤだ、というのであれば、会社から解決金を支払ってもらうことを条件に労働契約については終了させるというという内容での、和解を図ることを念頭に置くべきでしょう。

 

時々、私に相談してくる労働者の中には、会社の社長に謝罪させたいという方がいます。その気持ちはわかります。ただし、現実的には社長があなたに謝罪をしてくることはほとんどありません。それに、会社の本質は売上を上げ利益を得ることです。会社があなたに解決金を支払うということは、売上がその分下がり利益が減るということです。会社としては、こういう不必要な支出ほど痛いものはありません。

 

あなたの気持ち、解決までに要する時間、解決までに要する費用、得られる利益、そういった諸々のことを全体的に考慮検討して、どういった解決が妥当なのか決めましょう。
労使トラブルの多くは労使双方が歩み寄って和解により解決しています。和解とは、紛争の当事者双方がお互いの主張を少しずつ譲り合って現実的な解決を図ることです。したがって、どあなたが要求する内容の100%が実現するということは実際には難しいでしょう。そのあたりのことを心の片隅にとどめておくべきです。

 

不当な解雇や雇い止めの解決方法など

不当な解雇や雇い止めの方法としては、当事者間の直接的な交渉から、第三者を介して、第三者に間を取り持ってもらう形で解決を図る方法、裁判所で司法判断を仰ぐ形で解決を図る方法などがあります。
以下、考えられるいくつかの方法を挙げてみます。

 

文書を交換する
まず労働者が会社に対して「請求書」あるいや「通知書」といったタイトルで文書を送付します。文書の内容は、解雇や雇い止めを受けたこと、その解雇や雇い止めが違法無効であると考えること、希望する解決内容、話し合いを希望する場合はその旨、などを記載します。
これに対して会社(または会社の代理人弁護士等)は労働者に、通常は「回答書」といったタイトルの文書を送付します。回答書では、会社の主張する内容や、話し合いを希望するときはその旨が記載されています。この回答書の内容次第で、その次の解決手段がほぼ決まります。

 

当事者間の話し合い
労使双方、特に会社が希望するときは、会社の担当者と労働者との間で解決のための話し合いが行われます。話し合いの場所は、市民センターの会議室などの、会社外で行われることがほとんどです。会社が解決を弁護士に一任しているときは弁護士の事務所で行われることもあります。労働者側で注意することは、なるべく一人で会社との話合いに赴かないことです。法的知識を有する者を補佐人として同席させて、会社の主張が正しいのかどうか、会社の担当者が言うことに対してどう答えればいいのか、都度アドバイスを受けられる体制を整えておくと安心です。
話し合いは封数回行われることもありますし、1回目の話し合いである程度、内容を詰めることができれば、あとは文書の交換による方法で、終わらせることもあります。
当事者間の話し合いで和解するときは、必ず「和解契約書」「和解協議書」「合意書」といった、話し合いによって取り決めた和解の内容を文書にしたものを作成しておきましょう。

 

裁判外のあっせん
当事者間の話し合いではうまく解決を図れないときは、労働局や社会保険労務士会労働紛争解決センターなどのあっせん制度を利用して解決を図る方法があります。あっせん手続きは、当事者の双方があっせん手続きに参加する意向を示した時に、あっせん期日にあっせん員が、当事者の間を取り持って、和解内容を取りまとめることにより解決を図るものです。あっせん員は、大学の教授や准教授、弁護士、社会保険労務士などの労働法に詳しい専門家が担当します。
もっとも、あっせんは、紛争の当事者、特に会社にあっせん手続きに参加を強制しませんし、またあっせん期日に必ず和解しなければならないものでもありません。したがって、会社があっせん手続きに参加しないとき、またはあっせん期日において話し合いがうまくまとまらないときは、あっせんは打切りによる終了となります。
あっせん手続きは、労働局の場合、行政サービスの一環として行われますので、料金はかかりません。社会保険労務士会労働紛争解決センターの場合は、都道府県会ごとに異なりますが、無料のところから5,000円程度を設定しているところもあります。

 

労働審判
労働審判手続は、地方裁判所で行われる、個人労働者と会社との間の労働関係民事トラブルの解決を専門に行う審判手続です。審理は職業裁判官と労働事件に詳しい民間人2名(労働者側1名と使用者側1名)の計3名からなる労働審判委員会が行います。労審判手続は、当事者は参加を強制されます。労働審判手続期日は最高3回まで設定され、おおむね、第1回目の期日で事実関係の整理が行われ、第2回目の期日で調停案の提示、調停が成立しない場合は、第3回目の期日が設定されそこで審判がなされます。審理期間は第3回目期日までもうけられた場合で3ヶ月程度です。
審判に異議がある当事者は審判から2週間以内に異議の申し立てを行うことができ、当事者の一方もしくは双方から意義が申立てられると、審判は失効し訴訟に移行します。
労働審判手続で調停が成立した場合や、審判されたときに当事者から意義の申立てがなく審判が確定したときは、裁判上の和解と同一の効力が発生します。裁判上の和解と同一の効力というのは、調停や審判で、当事者の一方(通常は会社)が他の一方(通常は労働者)に対して金銭の給付を目的とする条項がある場合に、この条項通りに当事者が任意に金銭を給付しないとき、一方の当事者は裁判所に対して強制執行の申立てをすることができるということです。

 

民事訴訟
民法やその特別法である労働契約法などの私法に出来事の事実を当てはめて、紛争の当事者にどういった権利が発生しているのかあるいは発生していないのかを判断する司法手続きです。解雇や雇い止めの無効(これを「地位確認」と言います)を裁判所で判断してもらう場合、地方裁判所に対して訴訟を提起します。
解雇や雇い止めの無効を判断してもらうとき、通常はこれに合わせて「賃金仮払い仮処分」の申立ても裁判所に行います。賃金仮払い仮処分というのは、会社が行った解雇などは違法無効であるから、判決が確定するまでの間会社が労働者に賃金を仮に支払うよう命じてもらう制度です。こうすることで裁判中に労働者の無収入状態を避け、生活の不安定化を回避することができます。また、裁判所が賃金の仮払いを認めると、その後の訴訟の判決の予想も立ちますので、そこで会社と労働者との間で和解が成立することもあります。
訴訟は判決まで通常1年程度を要します。したがって、会社から解決金を支払ってもらうことで和解に応じることができるという場合には、比較的短期間に紛争の解決を図ることができる労働審判手続きを申立てる方が良いでしょう。訴訟は、原則として絶対復職を希望する場合にのみ限定して利用すべきです。

 

労働組合と会社との団体交渉
労働者が労働組合に加入して、その労働組合と会社との団体交渉により、労使トラブルの解決を図る方法もあります。労働組合があなたの組合への加入を認めてくれると、その労働組合が会社と団体交渉を行って、紛争の解決を図ります。ただし、労組に加入すれば必ず紛争の解決を図ることができるというものではありません。また、うまく紛争が解決できた場合であっても、その後も労働組合員として、組合費を収めて組合の活動に参加しなければなりません。労使トラブルの解決のためだけに組合を利用するということは許されません。

 

 

 

 

 
トップページ 事務所概要 業務・料金案内 無料労働相談会 お問い合わせ・ご相談